トップが語る、「いま、伝えたいこと」

このページでは、舩井幸雄の遺志を引き継ぐ舩井勝仁と佐野浩一が、“新舩井流”をめざし、皆様に「いま、伝えたいこと」を毎週交互に語っていきます。
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2024年4月29日
あらためて、禅的生き方に学ぶ (※佐野浩一執筆)

 もう10年位前になるでしょうか。
 新幹線に乗る前に少し時間があったので、ふらっと構内にある書店に立ち寄ったときのこと。一冊の本が光って見えたのです。
 曹洞宗徳雄山建功寺ご住職であり庭園デザイナーの枡野俊明氏が書かれた「競争からちょっと離れると、人生はうまくいく」(2014年、三笠書房刊)という書物。
 けっこう長い時間をかけて読み終えたことを記憶しています。
 それ以来、とくに座禅を組んだりはしていませんが、その「禅的生き方」に興味関心が溢れて、いまでもどっぷり浸かっています。
 とくに惹かれているのが「禅語」なのですが、枡野先生が説かれると、本当にしっくりくるといいますか、腑に落とさせていただくことが多いのです。
 いくつかご紹介しますね。

@「而今(にこん)」
 大切なのは過去でも未来でもなく、現在、今ここにある瞬間であるという意味。
 忙しく日々を送っていると、「今、ここ」をないがしろにしてしまっていると感じることが時々ありますよね……。

A「只管打坐(しかんたざ)」
 坐禅は何かの目的を達成するための手段ではなく、ただ坐ることが目的。
 これも、「今、ここ」に自身を置くために、大切なとらえ方だとつくづく思います。

B「喫茶喫飯(きっさきっぱん)」
 お茶を飲むときにはお茶に集中せよ、ごはんを食べるときには米ひと粒ひと粒に集中せよ、という意味。
 これも@Aと同様に理解できますよね。どれだけ「今、ここ」にいることが大きな課題であるととらえられてきたかがよくわかります。 

C「一掃除、二信心(いちそうじ、にしんじん)」
 まずすべきことは掃除であり、信心はそのあとでよいという意味の禅語。掃除によって心も曇りなく磨きあげられる。
 私は、掃除、片付けが苦手なので、つくづく反省です……。

D「山川草木悉皆成仏(さんせんそうもくしっかいじょうぶつ)」
 「山にも川にも草にも木にもすべて仏様の御心がある」という意味。自然と共存し合って生きてきたのが人間。その気持ちに立ち返ることが現代にこそ必要なのかもしれない……。
 まさに、舩井幸雄の考え方にある「自然の摂理」や「サムシング・グレート」とオーバーラップしますよね。

E「行雲流水(こううんりゅうすい)」
 空に浮かぶ雲も大地を流れる水も、何ものにもとらわれずに自由に動いている。ものを持つことは豊かさの象徴のように思えるが、重くなりすぎると動くことができない……。  
 自由に動ける軽やかさこそが心の豊かさと言える。
 豊かさのとらえ方を変えていかねばならない時代です。大事にしたいですね。

F「和顔愛語(わげんあいご)」
 人と接するときには、穏やかにほほえみながら慈しみの心で語りかけなさい、とう禅語。笑顔は人の心を明るくし、やさしい言葉は人と人の障壁を取り除くもの。人間関係を良好にするためには欠かせない……。
 一番好きな禅語です。私たちは、仮になにも人に与えることができなかったとしても、やさしい言葉、笑顔で施しができるんだと勇気づけていただけます。

 禅では、生活そのものが修行だとされています。
 立つこと、座ること、呼吸すること……。心を整えるためには、まずは行動し、体に覚えこませることが先、心は後からついてくると……。
 舩井幸雄は、ときに「悟り」の方法や境地などについて語っていましたが、未熟な私にとっては、きっと「形」「行動」から……というアプローチがわかりやすかったのだと思います。
 禅では、心を整えて穏やかな状態を保ち、人の言動に惑わされない本来の自分を見つけ出すことを目指しています。すなわち「心を磨く」ということですね。
 禅というと「坐禅を組む」というイメージがありますが、それは禅の一部にすぎないと教わりました。禅には「行住坐臥(ぎょうじゅうざが)」という言葉がありますが、歩く、立ち止まる、座る、横になる……。そんな日常の立ち居振る舞いすべてが、禅においては修行なんですね……。「呼吸」することだって、大切な修行なんです!だから、大事にしないといけません。内面(心)を整えるには、まず形(行動)から入ります。形を整えれば、心も自ずと整ってくるということです。
 さて、舩井幸雄といえば、「長所伸展法」がトレードマークのようになっています。 
 「(短所には目をつぶり)長所を伸ばす」というわけですが、この「長所」「短所」についての教えは、ある種、目から鱗だったのです。
 他人の長所も、短所も、はっきりいってしまえば、「独りよがり」の判断である……と教えていただきました。要するに、自分の勝手な都合が働いているとおっしゃるのです。
 たとえば、ある人を「優柔不断ではっきりしないヤツ」と自分は決めつけていても、他の人は「すごく慎重で信頼できる人」と受け止めていることだってあります。
 つまり、「自分にとってどうなのかを基準に、人を判断してはいないか?」ということなんですね。
 これはホントに目から鱗でした。
 さらに、長所を伸ばすのは当然だけれど、短所については、こちらの関わり方を変えることで、抑えられたり、見えなくしたりできると書かれていました。
 「短所」には、「改善要素」と「阻害要素」があるというのが、枡野先生のお考えです。そして、前者はこちらの関わり方を変えることでカバーできるというわけです。
 時間にルーズな人と付き合うには、たとえばこちらが直前にリマインドメールを送るだけで、改善要素としてカバーできます。
 枡野先生は、片や「庭園デザイナー」のお顔もお持ちなので、そのお取り組みがとっても面白いのです。
 庭園をつくる際、阻害要素と考えられる敷地の真横にある国道は、騒音などいかんともしがたいものがあります。しかし、庭に滝をつくって水を流し、その音で騒音を緩和することを考えればいいと……。
 相手を変えようとするより、こちらの対応を変えることで、長所的なものを膨らませることができるということですね……。この禅的思考のなかには、「まず変わるのは、相手より自分」という視点があります。
 「人は変えることはできない。でも、自分は変えることができる」と、いろんな方から教わってきましたが、正直、この改善要素と疎外要素の受け止め方と対応を知り、はじめて腑に落ちた……と感じ入ったものでした。
 一方、禅では、自分を否定することを厳しく戒められています。逆を言うと、自分を大事にするということです!
 臨済宗中興の祖と言われる白隠禅師の師匠・正受老人が残されたのが、次の言葉です。
「一大事と申すは、今日ただいまの心なり」
 一大事とは、人生で最も大切なこと。それは、いまの心。「いまの自分」を否定することは、その大切な「いまの心」を蔑ろにすること……。「即今、当処、自己」というのは禅的な生き方の柱だそうです。
 ちなみに、「即今」とは「たったいま」、「当処」とは「自分がいるこの場所」、そして「自己」とはもちろん「自分自身」。いまここで、自分が心を尽くしてやることがすべて。よくても、よくなくても、順調だろうと、そうでなかろうとも、人に認められようと、認められまいと……、いまの自分を、そのまま、しっかり見つめ、受け止め、まっとうすることが大事だという教えなんです。
 「今」「ここ」「自分自身」を大事にする。
 「変えられる」のは「自分自身」で、関わり方を変えると、見方も関係も変えられる。
まとめると、こういう感じです。
 ともすれば、「勝つか、負けるか」「白か、黒か」「善か、悪か」のように、二者択一の発想でとらえられがちな事象も多いわけですが、そこからちょっと距離をとって見つめてみることがポイントのようです。
 でも、よくよく咀嚼してみると、舩井幸雄が求めた「上手な生き方」自体も、禅的思考、禅の要素を多分に含んでいることに気づきます。
                             感謝

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舩井 勝仁 (ふない かつひと)
株式会社船井本社 代表取締役社長
1964年大阪府生まれ。1988年(株)船井総合研究所入社。1998年同社常務取締役 同社の金融部門やIT部門の子会社である船井キャピタル(株)、(株)船井情報システムズの代表取締役に就任し、コンサルティングの周辺分野の開拓に努める。
2008年「競争や策略やだましあいのない新しい社会を築く」という父・舩井幸雄の思いに共鳴し、(株)船井本社の社長に就任。「有意の人」の集合意識で「ミロクの世」を創る勉強会「にんげんクラブ」を中心に活動を続けている。
著書に『生き方の原理を変えよう』(2010年 徳間書店)、『未来から考える新しい生き方』(2011年 海竜社)、『舩井幸雄が一番伝えたかった事』(2013年きれい・ねっと)、『チェンジ・マネー』(はせくらみゆき共著 2014年 きれい・ねっと)、『いのちの革命』(柴田久美子共著 2014年 きれい・ねっと)、『SAKIGAKE 新時代の扉を開く』(佐野浩一共著 2014年 きれい・ねっと)、『聖なる約束』(赤塚高仁共著 2014年 きれい・ねっと)、『失速する世界経済と日本を襲う円安インフレ』(朝倉慶共著 2014年11月 ビジネス社)、『智徳主義【まろUP!】で《日本経済の底上げ》は可能』(竹田和平、小川雅弘共著 2015年 ヒカルランド)、『日月神示的な生き方 大調和の「ミロクの世」を創る』(中矢伸一共著 2016年 きれい・ねっと)、『聖なる約束3 黙示を観る旅』(赤塚高仁共著 2016年 きれい・ねっと)、『お金は5次元の生き物です!』(はせくらみゆき共著 2016年 ヒカルランド)がある。
佐野 浩一(さの こういち)
株式会社本物研究所 代表取締役社長
株式会社51コラボレーションズ 代表取締役会長
公益財団法人舩井幸雄記念館 代表理事
ライフカラーカウンセラー認定協会 代表
1964年大阪府生まれ。関西学院大学法学部政治学科卒業後、英語教師として13年間、兵庫県の私立中高一貫校に奉職。2001年、(株)船井本社の前身である(株)船井事務所に入社し、(株)船井総合研究所に出向。舩井幸雄の直轄プロジェクトチームである会長特命室に配属。舩井幸雄がルール化した「人づくり法」の直伝を受け、人づくり研修「人財塾」として体系化し、その主幹を務め、各業界で活躍する人財を輩出した。 2003年4月、(株)本物研究所を設立、代表取締役社長に就任。商品、技術、生き方、人財育成における「本物」を研究開発し、広く啓蒙・普及活動を行う。また、2008年にはライフカラーカウンセラー認定協会を立ち上げ、2012年、(株)51 Dreams' Companyを設立し、学生向けに「人財塾」を再構成し、「幸学館カレッジ」を開校。館長をつとめる。2013年9月に(株)船井メディアの取締役社長CEOに就任した。 講演者としては、経営、人材育成、マーケティング、幸せ論、子育て、メンタルなど、多岐にわたる分野をカバーする。
著書に、『あなたにとって一番の幸せに気づく幸感力』(ごま書房新社)、『ズバリ船井流 人を育てる 自分を育てる』(ナナ・コーポレート・コミュニケーション)、『私だけに教えてくれた船井幸雄のすべて』(成甲書房)、船井幸雄との共著『本物の法則』(ビジネス社)、『あなたの悩みを解決する魔法の杖』(総合法令出版)、『幸感力で「スイッチオン!」』(新日本文芸協会)がある。
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